多様性地域と高齢化地域との共存について
あいりん地区の歴史と共に伴走し、惜しみなく地域の発展と振興に貢献し続けてきた区民にとって、あいりん地区へのこだわりと愛着は年月と共に育まれ、その地域性における地域住民同士の絆は共通の精神と共に強固なもとして現在に至ったものであろうという事は十分に理解できるものです。
あいりん地区が今後生活と労働を中心とした地域から観光客の誘致、インバウンド観光地という新たなビジネス機会の獲得による地域の変化の影響を受け、異文化交流やジェネレーションギャップ、流行や価値観の共有などなど今までに経験した事のない新たな環境が生まれる事が予測されます。それに伴い、環境、生活、人種、世代層、労働等の多様化と地域で生活を維持していかなくてはならない住民が、その多様性への理解を深め共存していくための、地域住民同士による地域創りは、今後必要だと考えております。
「多様化と高齢化」とのバランスが整った「あいりん地区」を目指し将来においても「流石のあいりん地区」と言ってもらえる地域作りをしていければという事が私の願いでもあります。
そのためには、高齢化という偏見を取り除き、お互いがあいりん地区では、共存の強制ではなく「共存のための共生」であることを地域で伝えていく必要があります。
「あいりん地区」の地域性として誤解され続けてきた「野蛮で粗暴な」あいりん地区のイメージから、本来の地域性である「地域力、底力、地元愛」という地域の品性をこの機会に、それを社会に証明していくべきだと考えています。
地域の沿革は、住民同士の意思表示によって行われなくてはなりません。多様化に伴う、地域改革を傍観する事は、地域文化の継承という観点から見ると、全く異なる地域改革に繋がりかねず、地域福祉の理念に矛盾してしまいます。多様化地域と高齢者地域との共存と、エイジングインプレイス、生涯住み続けられる地域作りを目指した場合、共存共生をテーマにした地域バランスの問題に十分注意して地域作りを行っていかなくてはなりません。
これまでに「気づき上げてきたあいりん地区」を将来に残していくためにも、現在の閉鎖的な発想から抜け出し、開放的な地域つくりに地域住民先導のもと積極的に参加していく事の意義は大きいと思います。「あいりん地区」に安心して、平穏に住み続ける事は、地域に貢献し続けた者として、当然の権利として尊重されるべきです。
「地域力とは、地域を守る力、地域を変えていく力」その力を積極的に発揮していけるのは地域住民の団結です。高齢者地域が生きやすい、活き活きした、生き甲斐のある地域をこれからも次世代へ繋げていきましょう。